中学校等で遠隔教育に期待する

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河合塾がサテライト講座を開設してから既に30年余り。当時は衛星通信を使って授業を配信していたが、いまではインターネットにより容易となった。現在、N高等学校は在籍者が1万人を越えているが映像配信による授業を広範に多人数に提供。また、海士町と宮崎を結ぶ双方向授業も実現され、技術的には実証済みである。それに授業コンテンツを一元化して管理すれば質の向上、担保は容易である。経産省「未来の教室」とEdTech研究会で学習者の個別最適化を示唆したが、当初の学習進度・理解から不登校、ギフテッド等の対象へと広がりをみせた。今後、学習スタイル、環境へと展開されることに期待しておりそれを可能にするものは遠隔教育である。
遠隔教育は時空を超える。遠隔教育は教室定員や教員が授業をする場などの制約から逃れられる。知識の伝達であれば効率は高まる。いまや双方向での議論と交流も可能である。
また、普段は接することができない特別な人や仕事場からの中継も可能で、実際には訪れることができない空間から双方向授業も可能。
また、病気などで欠席した場合にも映像授業であれば復習が容易となる。授業を欠席した場合の代替手段が現状では乏しいが映像が残っていれば遅れを取り戻すことができる。授業の代替が可能であれば不登校の概念をなくすこともいずれ可能になるだろう。
その一方で、教育委員会においては人事計画がままならない。大量の定年退職者と採用試験の沈滞から教員不足が心配され既に英語教員の配置が困難なケースもある。地方では少子化にともない統廃合が進んでいる。遠隔技術により教室を結べば統廃合をすることもない。統廃合は通学の負担も大きい。学校は地域のコミュニティの場であり、学校が廃校になれば地域は沈滞する。通学が困難であれば若い世代はその地域を離れていく。この予防手段としても遠隔教育は有効である。地方消滅の進行を止める期待もある。
さらには教室や教員配置から遠隔教育は自由になることで、授業クラスを複数レベルにすることもでき、英語や数学など理解度に差が出やすい教科への対応ができる。
こうした遠隔教育は段階的に学齢を下げるとともに通信制導入を試みることを期待する。
映像や通信の技術革新により発達段階等の懸念を解消する日が来るだろう。中学校等での遠隔教育を推進して、より公正な個別最適化や学習権の保障を実現していただきたい。